〒560-0003 大阪府豊中市東豊中町5丁目35-32
06-6151-4199
MENU
施設見学
施設見学

シャントについてシャントについて

シャントとは

  • 内シャント

    血液透析療法では、1分間に200ml程の血液を体外に導き出し、透析或いは濾過という物理現象を利用して老廃物を除去し、きれいになった血液を体内に戻しています。これだけの量の血液を体外に導き出すのには通常の静脈では無理があり、一方動脈を穿刺(注射針で突くこと)すると痛みが強かったり止血に時間がかかったりします。
    そこで、主に前腕の動脈に静脈を直接つないで毛細血管をバイパスする(=シャント)方法が広く用いられています。動脈と静脈の結合(吻合)は皮下すなわち体内で行われるので、これを内シャントと言います。この吻合により動脈内の圧力が直接静脈側に伝わり、静脈が「たこ」の様に分厚く、太くなって太い針でも穿刺しやすく、十分量の血液を体外に導き出すことができます。

    内シャント
  • 内シャントと外シャント

    内シャントの技法が確立されてから、慢性維持血液透析療法が飛躍的に進歩したことは間違いありません。
    動脈と静脈をプラスチックのチューブでつないでそのチューブを体外に出しておく外シャントは現在用いられておりません。

  • その他の方法

    内シャントのような血液の出入り口をブラッドアクセスまたはバスキュラーアクセスと呼び、上記の自己血管を用いる内シャント以外に、プラスチック製の人工血管を腕に埋め込む方法、腕の深いところを走る動脈を皮下の浅い所に持ちあげてそれを穿刺する動脈表在化法(きれいになった血液を体内に戻すための静脈が必要です)、皮下のトンネルを介して首の静脈に二重構造の太いチューブを留置しそこから血液を出し入れする長期留置カテーテル法などがあります。
    我が国では血液透析患者さんの90%以上が内シャントを使って血液透析を受けておられます。

シャントトラブル

  • シャントトラブルの原因

    ブラッドアクセスは血液の出入り口であり、血液透析患者さんにとっては命綱です。
    但し、内シャントは本来そのような目的のために準備されたものでない静脈を太くして穿刺しますので、どうしても無理がかかります。
    シャントトラブルで多いのは、血管内が細くなったり(=狭窄)、詰まったり(=閉塞)して老廃物除去に必要な血液量を確保できなくなることです。この場合できるだけ速やかに狭窄や閉塞を解除して透析療法に必要な血流量を確保する必要があります。

  • 血管内の狭窄

    狭窄が穿刺部より下流(心臓に近い方)に起こると、透析回路内の圧力が増加し、透析を継続できなくなることがあります。
    安心して十分な効率の透析を継続するにはこれも速やかに解除しなければなりません。

  • シャント感染

    穿刺部の消毒が不十分な場合にはシャント感染がおこることがあります。通常抗生物質投与で治療しますが、生体にとって異物である人工血管が感染した場合は重篤になり、人工血管を取り替える必要が生じる場合もあります。
    長期留置カテーテルは血管と体外が直接繋がっているので、感染防御には特に注意が要ります。

  • シャント瘤

    内シャントの同じ部分を何度も穿刺しているとその部分が「こぶ」のように膨れ上がることがあり、これをシャント瘤(りゅう)と呼びます。これがあまり大きくなると破裂の危険があります。

シャントトラブルに対する対応方法

  • 血管内の狭窄への対応

    シャントの狭窄や閉塞は、稀に起こって直ぐならシャント血管のマッサージで解除できることもありますが、多くはある程度の時間が経過しているためPTA(経皮経管血管形成術)或いはVAIVT(バスキュラーアクセスに対するインターベンション治療)が必要です。
    この方法では先ずシャント血管を穿刺して非常に細いガイドワイヤーを狭窄または閉塞部を超えて留置します。次にガイドワイヤーに沿って外側に風船の付いた細い管(バルンカテーテル)を進めて風船が狭窄または閉塞部に一致するように位置決めし、風船を膨らまして病変部を拡張します。この方法が確立してからシャントはかなり長持ちするようになりました。それでも何度も繰り返すと血管が痛んできて修復不可能となることもあり、その場合は内シャントの作り直しが必要になります。

  • シャント感染への対応

    シャント感染は穿刺部を推奨される方法で消毒して予防することが第一ですが、万一感染してしまった時は抗生物質で治療します。
    異物である人工血管やカテーテルに、菌によるバイオフィルムが形成されると抗生物質の効きが悪くなり、最悪の場合はこれらを入れ替える必要が生じます。

  • シャント瘤への対応

    シャント瘤が拡大して破裂の危険がある場合は、瘤の上流部を手術で少し縛ってシャント血流を減少させることがありますが、技術的にかなり難しいです。多くは瘤のあるシャントを完全に縛って人為的に閉塞させ、別の場所に新しく内シャントを作成することで治療します。

シャントトラブルに対する対応方法

シャントトラブルになった場合は
どうするか

PTA或いはVAIVTが必要になった場合に備え、そうかわ透析シャント腎クリニックと円滑な連携の上、治療をご依頼しております。
同クリニックにご受診頂く際も、当クリニックより患者様の送迎等を行い、ご負担を減らすように心がけております。
またシャントトラブル治療後も適切な間隔でのシャントケアをご依頼しております。

そうかわ透析シャント腎クリニック様の詳細な情報は下記のHPにて参照頂けます。→ そうかわ透析シャント腎クリニックHP
ご希望のシャントケアクリニックがある場合は可能な限りご希望に添えるように対応いたします。但し、場所によっては当クリニックより送迎が出来ない場合もございます。

送迎車

シャント外来後

  • 帰宅後

    シャントケアのみで帰宅された場合は特に注意すべき事はありません。
    VAIVT施行後に血管の攣縮(痙攣)が起こって一時的に狭窄や閉塞が進行することがあるので、暫く経過を見てから帰宅となります。帰宅後も普段よりは注意深くシャントの状態をフォローしてください。

  • シャント音やスリルの注意

    医療の原則である「早期発見、早期治療」は内シャントにも当てはまります。普段からシャント音やスリル(ビリビリする感じ)に注意を払ってください。
    シャント音が弱くなったり、高い音になったり、笛を吹くような音になったり、スリルが弱くなったりしたらシャントが狭窄し出している可能性があるので、早めに私共にお知らせ下さい。シャント音が聞こえなくなったり、スリルが全く触れなくなったらシャント閉塞の可能性があるので、直ちに私共にご連絡ください。
    何れの場合でもシャントトラブルに対応可能な医療機関を紹介いたします。但し、土曜日の14時以降から月曜日の朝8時頃は対応が非常に難しくなりますので、早めの連絡をお願いします。通常の救急外来では対応できないことはご理解ください。

  • シャントトラブルを回避するために

    シャントトラブルを回避するには日頃から注意が必要です。シャント側の腕にバッグなどの荷物をかけたり、腕枕をしたりするとシャント血管の圧迫によりシャント閉塞のリスクがあります。
    袖口のきつい衣類の袖をたくし上げると袖部の圧力があがるので、これもシャント閉塞のリスクとなります。兎に角、シャント血管に不用意に圧力をかけないように普段から注意してください。

シャントトラブルのリスクがある行為